サントリー塩尻ワイナリー

名古屋が梅雨入りして1週間後。梅雨を忘れるほど晴れ間の続くある日に、長野の「サントリー 塩尻ワイナリー」に行って来ました。を訪れました。こちらこのワイナリーは1907年に創設者の鳥井信治郎氏により開発された「赤玉スイート」用の原料造りの為に1936年に設立されました。


塩尻ワイナリー のワイナリー長の篠田さんに案内して頂きました。
塩尻には標高は700m以上の桔梗ヶ原と岩垂原(いわだれはら)に畑があり、岩垂原の畑へ向かいます。塩尻市と松本市の市境に位置する岩垂原地区。ワイナリーのある桔梗ヶ原から西へ、奈良井川を通りレタス栽培の盛んな洗馬(せば)を通り、北上したところにあります。岩垂原は岩が垂れるような肌の丸石があることに由来します。



案内して頂いた畑は契約農家の山本さんの畑です。
岩垂原地区は常に風が吹いていて風通しのよい場所で、畔道を見ると丸石だらけのところです。午前中に雨が降っても午後には乾いている水はけのよい土地です。



フロレゾン(開花)を迎えた畑にはほんのりとした良い香りが漂います。収穫期や閑散期の畑は見た事があっても、この時期の葡萄の花を見たのは初めてです。花びらはなく、5本の小さなめしべとおしべの細い白い軸に小さな帽子を被った姿です。ぶどうの花からは、アカシアの花のような、かすかに甘くやさしい香りを感じます。



植えているのはこの土壌に適したメルローとマスカット・ベリーA。マスカット・ベリーAは茎が赤く一粒も大きいので、粒と粒の間隔がメルローより広いです。そう聞いてからもう一度見ると本当にその違いが分かります。



畑に1980年と看板があり、1本明らかに樹齢の長い樹がありました。「赤玉」が生まれたこの地を高級赤ワインの産地にしようと着手した年です。頼もしいく貫禄ある樹でした。



畑を見学させて頂いた後はワイナリーの見学です。
ワインを熟成させている樽貯蔵庫は1936年当時のままの木造の建物です。
半地下構造で、木造の建物の回りには温度を低く保つためのもみ殻で覆われていました。空調設備なしのコンクリート構造。夏で20℃超えないくらい、冬は外気温+5℃に室温が保たれています。中に入るとひんやりとした空気とカーヴの匂いに包まれます。私はこのカーヴの少し湿り気のあるワインと樽の交じり合った匂いが大好きです。中央には昭和30年にブランデーの樽を置いていたラックがそのまま使われています。



隅には少し形の違う樽も置いてありました。ウイスキー造りによく使用されるミズナラの樽です。色々な品種で試した結果、特徴的なココナッツ、白檀、オリエンタルな風味がマスカット・ベリーAに良く合うことに気がついたそうです。

次は2013年にできた新しい醸造用の建物に案内して頂きました。
最新式の選果台が導入され、ぶどうが効率よく選果できるようになり、醸造用のタンクもこれまでの大型ではなく、3キロリットルの小型のものが導入され、畑ごとに醸造できるようになったそうです。それに伴い2013年ヴィンテージからワインのエチケットも一新されるそうです。



最後にテイスティングです。5種類全て塩尻のワインです。
メルローのロゼは食事に合う自然な甘みが口中を漂います。マスカット・ベリーAは期待通りの華やかな果実実。先ほどのミズナラ樽を使ったマスカット・ベリーAは華やかさと香ばしいオリエンタルな風味がよく合います。メルローは清々しい樹木の香りとしっかりとした味。岩垂原のメルローは複雑味のある厳格な味でした。日本ワインの未来が楽しみになるようなワインを頂きました。



サントリーを後にして、塩尻市の10番目のワイナリーとして、2015年から醸造を始めている「サンサンワイナリー」へ行きましたを訪れました。こちらは名古屋市の社会福祉法人サン・ビジョングループが「次世代の子供たちに残したい美しい環境を育む社会にやさしいワイナリーをつくること」という目標を掲げて立ち上げたワイナリーです。標高860mくらいのところにあるワイナリーにはレストラン&ショップも併設されており、テラス席から葡萄畑を眺めながら食事をすることもできます。

 

安部絵美香

2017年09月13日