ナパ・ヴァレー

2012年8月のよく晴れた日。私たちはカリフォルニア、サンフランシスコ空港に降り立ちました。目的地のナパ・ヴァレーには、空港から北へ車で約1時間半くらいで到着します。


カリフォルニアで一番印象に残っているのが、空の青さと広さです。空には一筋の雲もなく、太陽がさんさんと降り注ぎ、ヴァレー(=谷)状になだらかに続くぶどう畑。私がカリフォルニアワインを話す上で、まず思い出すのがその時の空と太陽です。日陰に入れば少し肌寒いくらい涼しく、カラッとした気持ちのよい気候でした。ナパ・ヴァレーのぶどうは早い所で8月から収穫されるそうです。


今回ご紹介するのは、ナパ・ヴァレーのヨンドヴィルにある「ジラード ワイナリー」。気軽に入れるブティックワイナリーです。ブティックワイナリーとは、家族や個人で経営している小さなワイナリーです。カリフォルニア(特にナパ)にはブティックワイナリーが沢山あり、年間約300万人(2012年度)もの世界中のワイン愛好家が、この美しいワイン産地を訪れています。ナパ・ヴァレーは南へ行くほど太平洋から海風の影響が強く、ヨンドヴィルまでは比較的冷涼な産地です。



ワイナリーや飲食店が立ち並ぶ一角にある「ジラード ワイナリー」。外観はダークブラウン、モダンでアーティスティックな小さなワイナリーです。天気のいい日に外でもワインが楽しめるようになっており、この日もワイナリーの前のテラスには、色々な国の人々がワインを囲んで話を弾ませていました。私たちのように1日3~4件のワイナリーのワインを試飲して回る…という人より、長め食事を取り、ワインと雰囲気を楽しむという人の方が圧倒的に多いのでしょう。中に入ると10名も入ったら一杯になってしまうような、テイスティングスペースがあります。私たちはその奥にあるテイスティングルームで試飲させて頂きました。




壁にはワイナリーの歴史を物語る写真が数多く飾ってあります。米国の有名高級デリ「ディーン&デルーカ」を経営するD&Dを親会社とするワイナリー。オーナーはソムリエ出身で、ソノマのシャトー・セント・ジーンの社長を経て、ワイナリー設立となりました。オーナーのこだわりで、ワインはどれも気軽に手に届くお値打ちなものばかり。サミュゼでも扱っているソーヴィニヨン・ブランとジンファンデルは他のワイナリーのお手本となっています。ジラードではスタンダード品の力の入れ具合が、高級品より多く感じました。


数年前はカルトワインブームもあり、濃厚なワインを望む人々も多く、価格は高騰して品薄状態が続きました。今現在、カルトワイン以外のカリフォルニアワインも年々価格が上昇しており、サミュゼでも扱いにくい価格になってきています。それでもジラードのように、自分のワインを貫いて質を落とす事がないワイナリーは、消費者やワインを提供する側としてはとてもありがたい存在です。



話は少し変わりますが、今年の6月に新潟県十日町にある「桜花レスリング道場」に、全日本女子レスリングの練習を見学させて頂きました。この建物は昔の小学校を改修した、全日本女子レスリングチームが強化合宿を行うための拠点施設となっています。日本レスリング協会の丸山副会長のご好意により、その練習を見学する事ができました。





この道場では、今回のオリンピックで金メダルを取った登坂 絵莉さん、伊調 馨さん、川井 梨紗子さん、土性 沙羅さん、初戦の勝利を後少しで逃してしまった渡利 璃穏さん、女子レスリングを長年引っ張り、今回惜しくも銀メダルの吉田 沙保里さんも、他の期待の若手選手と一緒に練習していました。





練習の後の懇親会で、吉田 沙保里さん他選手の方々に向け、サミュゼからワインの激励を送りました。そのワインが今月の「ジラード」です。きっとワインを飲んで勝利を勝ち取って来てくれたと信じつつ、オリンピックで大活躍をしてくれた選手のように、皆さまもこのワインを飲んで、まだまだ続く夏の暑さを乗り切れますように!


安部絵美香

2016年11月27日